臨床への取り組み

HIV診療

HIV感染症は、1990年代に効果的な抗ウイルス療法が確立されたのち、約25年間で飛躍的に治療が進歩しました。今では1日1錠の内服薬を毎日飲むことで、生涯ウイルスをコントロールできるようになっています。また、抗ウイルス薬の副作用も以前に比べて少なくなっています。

治療の進歩によりHIV感染者の寿命が延伸したことで、HIV陰性者と同じように加齢に伴う脂質異常症や糖尿病などの動脈硬化性疾患、悪性腫瘍などが問題となっています。当院では、HIV感染症に伴う合併症はもちろん、毎年自治体や勤務先でのがん検診や法定検診の他に、患者さんのリスクに合わせて必要な健康チェックを適宜実施して参ります。また、ワクチンで予防できる疾患についての情報を提供し、希望する患者さんにはワクチンも積極的に接種しています。

また、当院の医師はいずれもHIV診療に熟達しており、患者さん本人の性自認、性指向も含めて、プライバシーには最大限配慮した診療を行ってまいります。また、慶應義塾大学病院は東京都のエイズ中核拠点病院に指定されており、他の診療科においても専門薬剤師、専門看護師、ソーシャルワーカーなど医師以外にも経験豊富なメディカルスタッフがHIV診療チームを作って、安心して受診して頂ける診療体制を構築しています。