1.新規感染症診断法・薬剤耐性菌検出法の開発
私たちは、主に等温遺伝子増幅法を応用して、世界のどの地域でも簡便・短時間で病原体検出が可能な方法の開発を行うことで、世界の感染症対策へ貢献することを目指しています。
2.肺非結核性抗酸菌症・気管支拡張症の疾患感受性遺伝子の解明・機能解析
現在では、NTM Research Consortiumを設立し、日本のみならず、米国、オーストラリア、韓国、台湾の研究者と共に肺非結核性抗酸菌症・気管支拡張症の疾患感受性遺伝子の解明を目指しています。
3.透析患者におけるワクチンの免疫応答
臨床医の視点から、透析患者におけるワクチンの免疫応答について検討し、透析患者の免疫の特徴を明らかにし、透析患者が感染にかかりにくくするためにできることを模索するため、慶應義塾大学微生物免疫学教室、北里大学ウイルス感染制御学教室、チューリヒ大学生理学・免疫学教室との共同研究を進めております。
4.HIV流行株とHIV患者についての調査研究
HIVの薬剤耐性と治療薬の関係、合併症、HIV感染者における免疫反応の研究などの臨床研究を実施しています。また、薬剤耐性HIV調査ネットワークに参画しており、多機関共同研究を行なっております。
5.新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のウイルス学的研究
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は2019年の発生以来、次々と出現する変異株による感染の波が繰り返されています。バイオセーフティレベル(BSL)3実験室を活用して、ウイルス学的な観点から、①新規消毒薬の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する不活化効果の検証、②SARS-CoV-2の病態解析に関する研究に取り組んでいます。
6.抗酸菌症のバイオマーカーの探索
疾患活動性を客観的かつ定量的に評価可能で、治療方針の判断に有用なバイオマーカーになりうる物質を探索しています。
7.感染実験による抗酸菌症の病態解明
ヒトマクロファージやマウスを用いた感染実験を行い、抗酸菌症の病態解明を目指しています。慶應義塾大学信濃町キャンパスには、biosafety level 3の実験室があり、結核菌の感染実験も実施しています。
8.非結核性抗酸菌症の有効な治療法の探索
非結核性抗酸菌は様々な抗菌薬に耐性であり、非結核性抗酸菌症は一般的に難治性です。そこで、新規抗菌薬や既存の抗菌薬の非結核性抗酸菌に対する有効性を評価し、非結核性抗酸菌症に有効な治療法を探索しています。
9.教育機関や医療機関における感染症対策に関する研究
当教室、慶應義塾大学病院感染制御部、慶應義塾大学保健管理センターが協力し、教育機関や医療機関における適切な感染症対策を検討しています。
10.微生物検査診断系の構築・デジタル技術の検査診断への応用・感染症免疫の解析
臨床分離株を用いた薬剤耐性の疫学調査や新規薬剤耐性機構の解明などに取り組んでいる他、Digital Microbiologyとして、画像解析技術やAIを活用した新しい病原体診断系の開発などを産学連携して実施しています。また、臨床検査システムを活用したワクチン関連の評価研究などにも取り組んでいます。
11.肺非結核性抗酸菌症、気管支拡張症の末梢気道病変に着目した病態解明
肺非結核性抗酸菌症、気管支拡張症の外科切除肺を分子生物学的指標とともに病理学的に評価し、様々な気道部位由来のヒト初代気道上皮細胞培養における遺伝子編集による検討も合わせ、病態解明を目指します。最近では、空間的トランスクリプトームやシングルセルRNA解析などの手法を取り入れています。