臨床への取り組み

非結核性抗酸菌症

非結核性抗酸菌(NTM)症は結核菌群・らい菌以外の抗酸菌による感染症であり、主に中高年以降の女性や元々肺疾患のある患者に慢性進行性の難治性呼吸器感染症を起こします。我々は、日本において ①肺NTM症の罹患率は2008年から7年後の2014年にそれまでの約2.6倍と急激に増加し、②肺結核の罹患率を超え、③肺Mycobacterium avium/intracellulare(MAI)症が肺NTM症の約90%を占めることを報告し、公衆衛生上、重要な感染症であることを明らかにしました(Namkoong. Emerg Infect Dis. 2016)。

非結核性抗酸菌症に対して、日本や欧米のガイドラインに準じた世界標準の診療・治療を進めると共に、難治例には、アミカシンリポソーム吸入用懸濁液の導入を含め、積極的な診療・治療を行っています。非結核性抗酸菌症は臨床感染症センターのスタッフが感染症外来および呼吸器感染症専門外来で診察すると共に、呼吸器内科、看護部、薬剤部、臨床検査部、事務部門とも密に連携して、チーム医療を進めております。

また、治験を含めた非結核性抗酸菌症の新規治療開発や、患者さんにご協力をいただきながらNTM症について数多くの研究にも積極的に取り組んでおります。

近年、明らかな免疫不全がないにもかかわらず、 全身に感染が広がる播種性非結核性抗酸菌症の症例に、抗IFNγ中和自己抗体が認められることが注目されています。播種性非結核性抗酸菌症に関しても他大学と連携しながら積極的に診療を進めております。

NPO法人NTM-JRCの運営

「非結核性抗酸菌症( 肺NTM症) 」は増加しているにもかかわらず、まだまだ患者様やその家族への情報が少ない現状があります。

研究グループでは国内の施設と協力して、NPO法人NTM-JRCの設立・運営し、「非結核性抗酸菌症」の特徴と治療法などを、患者様やその家族の方に向けて、毎年、市民公開講座を開催しております。市民公開講座の内容は患者様、ご家族はもちろんのこと、医師、医療者の皆様に対しても有用な情報を提供しています。

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