臓器横断的診療
全ての診療科からの相談に対応し、あらゆる臓器の診療を行います。診断の難しい患者さんに対しては、結果的に感染症でなかったとしても、診療の質の貢献を目指します。感染症を治療することだけが目標なのではなく、患者さん個人の最適なアウトカムを目標にすることを体得します。
臨床微生物学
感染症は微生物が起こす疾患なので、微生物の理解は必要不可欠です。どのような微生物が原因なのか、同定方法とその不確実性、同定できない場合の手段、などを臨床的に重要な微生物学の知識を身につけます。検体の塗沫グラム染色の解釈などもこのコンピテンスに含まれます。慶應義塾大学病院臨床検査科とも連携した研修を行います。
薬物動態学
感染症治療薬には様々なものがあり、使い方には習熟が必要です。また、薬剤耐性菌を抑制するために適正な抗微生物薬の使用が望まれています。感染症治療薬の選択、様々な投与方法、副作用、相互作用、第一選択薬が使用できない場合の代替薬についての知識、など抗菌薬ソムリエとでも言えるべき知識・技能を身につけます。
感染症倫理
感染症の拡大防止に必要な隔離や、HIVや薬剤耐性菌保菌の告知など感染症において倫理的な問題は数多く存在します。隔離には人権の制限を伴うことや、過去に我が国ではハンセン病、HIV感染症をはじめとする感染症への偏見や差別があったことを歴史から学び、公衆衛生の視点と患者個人の人権という人の視点に立てる倫理観を養います。
新興・再興感染症対策
世界では、新型インフルエンザ、ジカウイルス感染症、COVID-19やM痘といった、様々な新興・再興感染症が生じます。世界での疫学情報を把握し、我が国、病院に必要な対策を考えます。また最新の医学情報にキャッチアップし、必要な文献を読みこなし、最適な治療法、感染対策を自身で考える能力を養います。
感染症危機管理
感染症対策には、院内整備やサーベイランス、手指衛生やPPE使用の遵守などの平時に必要な対策に加え、患者隔離、積極的疫学調査、病棟閉鎖などのアウトブレイク時対応が必要です。病棟内、病院内アウトブレイク時のマスコミ対応なども含まれます。感染管理部門はほとんどの病院に設置されているが、感染管理において感染症専門医としての関わり方を学びます。